逆走自転車の過失割合は?車・自転車同士の事故を弁護士解説

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逆走自転車の過失割合は?車・自転車同士の事故を弁護士解説

道路の右側を走ってきた自転車と衝突したとき、「逆走なのだから相手が全面的に悪い」と考える方は少なくありません。ところが、交通事故の過失割合は、交通違反の有無だけで決まるものではないのです。相手が自動車か自転車か、正面衝突か出会い頭か、どちら側から見えていたか、回避できる時間があったかによって、出発点となる数字から変わります。

逆走自転車の事故では、「違反した側」と「より大きな注意義務を負う側」が一致しないことがあります。この違いを知らないまま示談を進めると、保険会社の数字が妥当か判断できません。

この記事では、別冊判例タイムズ39号「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂6版」に掲載された事故類型を踏まえ、逆走自転車の過失割合を具体的に解説します。数字はあくまで一般的な目安であり、個々の事故では証拠と現場状況に応じた検討が必要です。

主要なポイント

  • 逆走という違反と民事上の過失割合は別に検討すること
  • 車との対向事故は自転車20対車80が一つの基本となること
  • 自転車同士の対向事故は50対50から右側通行を修正すること
  • 映像や現場写真が過失割合の判断を左右し得ること

目次

1. 逆走自転車の過失割合と基本基準

1. 逆走自転車の過失割合と基本基準

逆走自転車の過失割合を考える第一歩は、事故を正しい類型に当てはめることです。同じ右側通行でも、車と道路上で向かい合った事故、自転車同士の正面衝突、交差点で横方向から入ってきた出会い頭事故では、参照する基準が異なります。まず交通ルールを確認し、そのうえで過失割合の代表的な数字を見ていきます。

1-1. 逆走は道路交通法違反なのか

1-1. 逆走は道路交通法違反なのか

一般に「自転車の逆走」と呼ばれるのは、車道や路側帯で進行方向に対して道路の右側を通行する行為です。自転車は道路交通法上の軽車両であり、車道では原則として道路の左側部分を通行しなければなりません。路側帯を通れる場合も、利用できるのは道路左側部分の路側帯です。したがって、車道の右端を対向車と向き合う方向に走る行為は、原則として交通違反になります。

この点は、警察庁も「車道が原則、左側を通行」と案内しています。道路標示で自転車の通行場所が指定されていれば、その表示にも従わなければなりません(出典:警察庁「自転車の交通ルール」)。

歩道上の進行を直ちに逆走と決めつけないこと

普通自転車が例外的に歩道を通行できる場面では、車道と同じ意味で常に一方向だけを走るとは限りません。ただし、歩道の車道寄りを徐行し、歩行者を妨げるときは一時停止するなど、別の通行方法が課されます。普通自転車通行指定部分や一方通行の標識があれば、その内容も確認が必要です。

また、自転車を押して歩いている人は、原則として歩行者として扱われます。乗車中なのか、降りて押していたのかでも基準が変わり得るわけです。電動アシスト自転車の基準を外れた車両や、スロットルだけで走れる車両は、そもそも普通の自転車ではなく原動機付自転車などに当たる可能性もあります。

もっとも、右側通行が違反であることと、逆走側の民事上の過失が100%になることは同じではありません。民事上の過失相殺では、双方が事故を予見して回避できたか、車種ごとの危険性、速度、位置関係などを見ます。交通反則切符や警察の注意は重要な資料になり得ますが、それだけで賠償上の割合が自動的に確定するわけではないのです。

◆弁護士のワンポイントアドバイス

「逆走だった」という一点だけで交渉すると、相手方から別の事故類型や回避可能性を指摘されたときに行き詰まります。道路のどこを、どちら向きに、どのくらいの速度で走っていたかを図面と映像で示すことが大切です。

1-2. 車と正面衝突した事故の基準

1-2. 車と正面衝突した事故の基準

別冊判例タイムズ39号のV-77図は、道路の右側端を進行する自転車Aと、対向方向から直進する四輪車Bが衝突する事故を扱っています。この類型の基本過失割合は、自転車20%:四輪車80%です。逆走自転車に違反があるのに車側が80%という数字を見て、意外に感じる方もいるでしょう。あなたはどう感じますか?

逆走自転車の過失割合を検討する別冊判例タイムズ39号
逆走自転車の過失割合を検討する際に参照する別冊判例タイムズ39号「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂6版」。

この基本割合には理由があります。自転車が道路中央線を越えた自動車と同じ危険を生じさせるとは限らず、四輪車側から自転車を見つけやすいこと、両者が接近する関係では双方に回避行動が求められること、車と自転車では衝突時の被害の大きさが異なることなどが考慮されています。自転車の交通違反を免責する趣旨ではなく、車側にも大きな前方注意と回避の余地があるという評価です。

V-77図の項目自転車側の修正考え方
基本割合自転車20:車80右側端の自転車と直進車が対向する事故を想定
自転車のふらつき自転車に+10予想外のふらつきにより回避が難しくなった場合
自転車の著しい過失自転車に+10携帯電話の注視など、通常より大きな注意欠如がある場合
自転車の重過失自転車に+20酒酔いや制動装置の重大な不良などが問題となる場合
児童等・高齢者自転車から-10要保護性が高い場合
車の前方不注視等自転車から-15発見後に制動が遅れたなど、車側の注意欠如がある場合
車の著しい前方不注視等自転車から-30前方不注視の時間がより長い場合など
車の重過失自転車から-10~20酒酔いなど、車側に重大な事情がある場合

表のプラスとマイナスは、自転車側の過失を何ポイント動かすかを表します。ただし、複数の事情を単純に足し引きすれば必ず結論が出るわけではありません。例えば、夜間だから一律に自転車へ加算する、幹線道路だから当然に加算するという扱いは、このV-77図では修正要素とされていません。

さらに、時速15キロ程度を大幅に超える高速の自転車では、通常の自転車を想定した基準から離れ、単車と四輪車の事故基準を参考に大きな修正を行う余地があります。ロードバイクだから直ちに別基準になるわけではなく、実際の速度、道路幅、制限速度などを証拠から確かめます。

反対に、歩く人の小走り程度以下の低速で進む自転車では、歩行者に近い注意能力や回避行動を前提にできる場面があります。判例タイムズ39号は、通常の自転車についておおむね時速15キロ程度を想定し、低速はおおむね時速10キロ以下を一つの目安としています。ただし、速度だけを取り出して機械的に分類するのではなく、道路状況を含めて判断します。

事故後の速度は、当事者の感覚だけでは正確に再現しにくいものです。映像のフレーム、一定区間を通過した時間、停止距離、損傷の位置などが手掛かりになります。「かなり速かった」「ゆっくりだった」という表現を、測定できる事実へ置き換えることが重要です。

20対80が使われる範囲

この数字は、右側端を走る自転車と直進する車が道路上で対向したV-77図の基本割合です。交差点の出会い頭、信号無視、自転車が道路を横断した事故、駐停車中の車への衝突には、そのまま当てはめません。

1-3. 自転車同士の正面衝突

1-3. 自転車同士の正面衝突

自転車同士が道路上で対向して衝突した場合は、車との事故とは出発点が異なります。別冊判例タイムズ39号のVI-48図は、歩道以外の道路上で進行車Aと対向車Bが衝突する事故について、A50%:B50%を基本としています。双方が相手を認識し、ブレーキや進路変更によって回避できる可能性があるため、まず対等と見る考え方です。

そのうえで、どちらかが道路の右側を通行していたなら、その側へ10~30ポイントを加える修正が示されています。したがって、右側通行した自転車と左側通行した自転車の事故では、一般的な目安として、逆走側60~80%:順走側40~20%となり得ます。幹線道路など、左側通行が特に期待される道路状況では、加算幅が大きくなる可能性があります。

VI-48図の事情A側への修正数字の読み方
双方が対向して進行A50:B50車道・路側帯で双方が動いている基本場面
Aが児童等・高齢者Aから-10要保護性が高い場合
Aが右側通行Aに+10~30逆走側が60~80%となり得る
Aが高速で走行Aに+10速度の客観的な裏付けが必要
Aに著しい過失・重過失Aに+10~20ながら運転や酒酔いなどの内容を個別に検討

反対側の自転車Bに同じ事情があれば、表と反対方向に修正します。例えばBが右側通行なら、Aの割合から10~30ポイントを引く仕組みです。児童等・高齢者、高速走行、著しい過失や重過失も、どちら側に存在するかによって数字の向きが変わります。

ただし、50対50は双方が進行し、互いに回避できる場面の基準です。一方が危険を察知して安全な位置で完全に停止し、その後に相手が衝突したなら、同じ前提ではありません。停止した時刻、停止位置、衝突までの時間を映像などで確認し、基本類型そのものが合うかを考える必要があります。停止したという当事者の言葉だけで直ちに0対100になるわけでもありません。

自転車同士の事故では、けがをした側が一方だけでも、その人が必ず「被害者」として過失を小さく評価されるわけではありません。過失割合は、負傷の重さではなく事故を起こした行為から判断します。一方、児童等・高齢者の修正には被害者保護の考え方があり、どちらが損害賠償を請求する立場かも確認します。

双方に損害があれば、それぞれが相手の過失分を請求する関係になります。自転車の修理費だけでなく、治療費、休業による減収、慰謝料などが問題となるため、わずかな割合の違いでも最終額に差が出ることがあります。自転車保険や個人賠償責任保険が使えるかも早い段階で調べておきたいところです。

1-4. 出会い頭事故との違い

1-4. 出会い頭事故との違い

「自転車の右側通行」と「出会い頭」が組み合わさると、正面衝突とは別の基準を使います。信号のない交差点で自転車と車が横方向から進入した事故では、道路幅、一時停止規制、優先道路、見通し、進入方向などを先に確かめます。正面衝突の20対80をそのまま引用するのは適切ではありません。

別冊判例タイムズ39号の説明では、自転車が右側通行をし、車から見て左方から交差点へ進入する場面では、自転車の右側通行を加算要素とする考え方が示されています。通常の方向とは異なる側から現れるため、車側が発見して回避することを難しくする面があるからです。

これに対し、逆走自転車が車から見て右方から進入する場面では、左側通行していた場合より車側が自転車を見られる時間が長くなることがあります。そのため、右側通行という事実だけを同じように加算しない扱いです。右側通行ならどの出会い頭事故でも同じポイントを足すわけではありません。

信号機で交通が制御されている交差点では、まず双方の信号表示が重要です。赤信号無視の影響を離れて、右側通行だけを先に評価するものではありません。また、一時停止規制がある側の不停止、明らかな先入、狭い道路と広い道路の関係、自転車横断帯の有無も数字を変え得ます。

なお、交差点で自転車が飛び出した事故については、当サイトの自転車の飛び出し事故における過失割合の解説も参考になります。現場図を作るときは、「自転車が逆走していた」だけでなく、車から見た進入方向まで書き込むと、適用すべき類型を判別しやすくなります。

出会い頭で先に確かめる事項

信号、一時停止、優先道路、道路幅、見通し、双方の進入方向、衝突地点、自転車横断帯を確認します。右側通行は、その後に検討する事情の一つです。

1-5. 注意や青切符との関係

1-5. 注意や青切符との関係

逆走中に警察官から注意された、指導警告票を受けた、青切符を交付されたという事情は、交通違反の裏付けになり得ます。2026年4月1日からは、16歳以上の自転車運転者にも交通反則通告制度が適用されています。もっとも、警察庁は、違反に対して基本的には指導警告を行い、事故原因となるような悪質・危険な違反などを検挙の対象とする考え方を公表しています(出典:警察庁「自転車の新しい制度」)。

ここでも、交通取締りと民事賠償を分けて考えます。警告だけだったから民事上の過失が軽いとは限りません。逆に、青切符を受けたからその人が事故の全責任を負うとも限らないのです。警察は交通違反を扱い、民事上の過失割合は当事者の合意、合意できなければ裁判所の判断によって決まります。

相手が「警察には注意されただけだ」と主張しても、それで交渉を終える必要はありません。警察への届出内容、実況見分、映像、現場の道路標示を合わせて見ます。他方、自分が違反を指摘された場合も、相手の速度超過や前方不注視が消えるわけではないため、双方の事情を同じ精度で確認することが欠かせません。

警察が作成する資料と、民事交渉で使える資料も同一ではありません。人身事故として捜査された場合に作成される実況見分調書には、現場の位置関係や指示説明が記録されることがありますが、物件事故では作成資料が限られる場合があります。どの資料が存在するか、いつどの手続で取得できるかを見通したうえで、手元の写真や映像を失わないことが大切です。

2. 逆走自転車の過失割合を動かす事情

2. 逆走自転車の過失割合を動かす事情

基本割合はゴールではなく、検討の出発点です。実際の事故では、ふらつき、高速走行、携帯電話の注視、発見後の制動、児童や高齢者といった事情を加減します。そして、その事情が存在したことを示すのは証拠です。この章では、「相手が避けなかった」という主張の扱いから、証拠の残し方、保険会社への対応までを説明します。

2-1. 避けない相手と回避可能性

2-1. 避けない相手と回避可能性

逆走自転車を見つけた車の運転者が、進路を譲らず直進を続けた場合、「違反しているのは相手だから、こちらが避ける必要はない」という主張は通りません。事故を具体的に予見でき、ブレーキや安全な進路変更で結果を避けられたなら、その機会を使わなかったことが車側の過失として評価され得ます。

添付のV-77図では、車が対向する右側端通行の自転車を発見した後、遅滞なく制動すれば容易に避けられたのに、前方不注視によって発見や制動が遅れた場合などを修正要素としています。通常の前方不注視等は自転車側から15ポイント、程度が大きい場合は30ポイントを減らす目安です。

ただし、車が発見した瞬間に急ハンドルを切ることまで常に求められるわけではありません。右へ避ければ対向車と衝突し、左へ避ければ歩行者や後続自転車を巻き込む状況もあります。判例タイムズ39号も、具体的な危険を認識するまでの若干の時間と、周囲の車両に対する配慮を考慮する趣旨を示しています。

自転車同士でも同様です。左側通行側が相手の逆走を認識しながら加速した、スマートフォンを見続けた、安全に止まれるのに正面から押し通そうとしたという事情があれば、順走側にも過失が認められる可能性があります。一方で、幅の狭い道路で突然現れ、停止距離も進路変更の余地もなかったなら、逆走側の割合が大きくなる方向です。

◆弁護士のワンポイントアドバイス

「相手が避けなかった」という言葉だけでは足りません。発見地点から衝突地点までの距離、速度、制動開始、道路幅、周囲の交通を秒単位で確かめると、回避できたかどうかが具体的になります。

双方が接触していなくても、自転車を避けた車が壁に衝突したような事故では賠償問題が生じ得ます。自転車の走行と回避事故との因果関係、回避方法が相当だったかが中心です。詳しくは自転車の非接触事故と過失割合の解説をご覧ください。

2-2. 事故直後に残すべき証拠

2-2. 事故直後に残すべき証拠

逆走の有無や回避可能性は、事故後の言い分だけでは決められません。時間がたつと、記憶は薄れ、防犯カメラ映像は上書きされ、路面の痕跡も消えます。負傷者を救護し、必要なら119番へ連絡したうえで、警察へ事故を届け出てください。自転車同士の事故でも報告義務と救護義務があります。

映像は上書き前に保存する

車のドライブレコーダーには、相手を初めて認識できた地点、双方の速度感、ブレーキ音、衝突位置が残ることがあります。事故部分だけをスマートフォンで撮影して終わらせず、前後を含む元データを保存してください。メモリーカードを抜くか上書き保護を行い、別の媒体へ複製します。時刻設定がずれている場合は、そのずれも記録しておきましょう。

自転車のカメラ、店舗や住宅の防犯カメラ、バスやタクシーの映像も役立つことがあります。保存期間は管理者ごとに異なり、短期間で消えることも珍しくありません。設置場所を写真に残し、警察へ早めに伝えることが重要です。

道路と車両を多方向から撮る

現場写真では、衝突した一点だけでなく、双方が来た方向から道路全体を撮ります。道路の左右、中央線、路側帯、矢羽根表示、一時停止標識、信号、カーブ、植栽、駐車車両、照明、道路幅が分かる写真が有用です。写真では距離感が分かりにくいため、可能なら路面の目印から衝突地点までのおおよその距離も測ります。

自転車の前輪、ハンドル、ブレーキ、ライト、車体の擦過痕、車のへこみや塗料の付着は、向きと接触角度を推測する手掛かりです。修理前に全体と接写の両方を撮影し、見積書や領収書も保管してください。

相手と目撃者の情報を確保する

相手の氏名、住所、電話番号、自転車保険や個人賠償責任保険の有無を確認します。学生なら保護者や学校を通じた保険、成人なら自動車保険や火災保険の特約が使えることもあります。契約者本人に限らず家族が対象となる商品もありますが、補償範囲は契約ごとに異なります。

目撃者がいれば、その場で連絡先と見た位置を聞きます。相手が逆上したり、そのまま立ち去ろうとしたりしても、追いかけて危険を広げてはいけません。安全を確保して110番し、服装、自転車の色や型、進行方向、発言内容を記録します。感情的な応酬は、過失割合の判断を一歩も進めません。

痛みやしびれがある場合は、事故から受診までの空白をつくらないようにします。診察では「痛い」とだけ伝えるのではなく、首、肩、腰、手首などの部位、動かしたときの症状、しびれの範囲を具体的に伝えてください。自転車事故では転倒時に頭部や手足を負傷していても、事故直後の緊張で症状に気づきにくいことがあります。

通院した日、交通費、仕事を休んだ日、家事や学業への支障も記録します。過失割合が決まっても、損害の存在と金額を裏付けられなければ、その部分の賠償を受けにくくなるからです。事故態様の証拠と損害の証拠を分けて保管すると、後の確認がスムーズになります。

その場で割合を約束しない

「こちらが全部払う」「お互い様にする」といった合意は避け、事実関係の確認を優先します。けがが軽く見えても、早めに医療機関を受診し、痛みの部位と発症時期を具体的に伝えてください。

2-3. 提示割合に納得できない場合

2-3. 提示割合に納得できない場合

保険会社から過失割合を示されたら、数字だけを見て承諾せず、どの事故類型を出発点にし、どの修正要素を何ポイント反映したのかを確認します。「過去の事例ではこのくらいです」という説明だけなら、該当する図や根拠を文書で示してもらうとよいでしょう。

次に、保険会社が前提とした事故状況と、映像や現場写真が一致するかを見ます。正面衝突なのに出会い頭の類型を使っていないか、右側通行の方向を取り違えていないか、完全停止の事実を見落としていないか、車の前方不注視や自転車のふらつきが反映されているかを確かめます。

過失割合は保険会社が一方的に法的確定する数字ではありません。まず当事者間の合意を目指し、合意できなければ交通事故の裁判外紛争解決手続、民事調停、訴訟などで判断を求めることになります。示談書へ署名すると、後から「数字が低かった」と考えても覆すのは容易ではありません。疑問が残る段階で根拠を確認する意味は大きいです。

賠償額は割合を掛けて考える

過失割合は責任の評価にとどまらず、受け取る賠償額へ直接影響します。被害者側に20%の過失があり、過失相殺前の損害が100万円なら、単純化した計算では受領額は80万円です。反対に、相手にも車両や自転車の損害があれば、自分の割合に応じた請求を受ける可能性があります。

例えば、自転車20%:車80%で、自転車側の人的・物的損害が100万円、車の修理費が60万円だったとします。単純計算では、自転車側は車側へ80万円を請求し、車側は自転車側へ12万円を請求する関係です。実際には既払金、保険給付、損害項目、相殺の方法などが加わるため、この例は仕組みを理解するための一般的な目安にすぎません。

けががある事故では、治療費、通院交通費、休業損害、入通院慰謝料、後遺障害が残った場合の逸失利益や後遺障害慰謝料などを漏れなく確認します。過失割合を5ポイント動かすことによる差額は、損害総額が大きいほど増えます。車の修理費だけで判断せず、人身損害を含む全体を見る必要があります。

弁護士費用特約も確認する

自動車保険、火災保険などに弁護士費用特約が付いていれば、契約条件の範囲で相談料や依頼費用が補償されることがあります。自分の契約だけでなく、同居家族などの契約が対象になる場合もあるため、保険証券と約款を確認してください。利用できる人、対象事故、上限額、保険会社への事前連絡の要否は商品ごとに異なります。

交渉では、自分に有利な事情だけを並べるより、相手から予想される反論も確認したほうが現実的です。逆走側であれば、相手の発見時期や制動の遅れを検討します。順走側や車側であれば、逆走の態様、ふらつき、速度、見通しの悪さを示します。双方の主張を同じ現場図に落とし込むと、食い違っている点が明確になります。

割合の変更を求めるときは、「納得できない」という感想ではなく、適用すべき類型、修正要素、証拠を対応させて伝えます。例えば、「映像の何分何秒で自転車を確認でき、その後何メートル進んで衝突した」「右側通行の自転車は車から見て左方から進入した」と示す方法です。相手方の回答も記録に残すと、その後の手続で争点を確認しやすくなります。

当事務所では、保険会社から提示された過失割合、ドライブレコーダー映像、事故現場図などを初回無料相談で確認しています。数字の根拠が分からない、逆走が反映されていないと感じる、相手との話がかみ合わない場合は、示談への署名前に交通事故の初回無料相談をご利用ください。

2-4. 逆走事故のよくある質問

Q1. 逆走自転車は必ず過失100%ですか?

A. いいえ。右側通行は原則として違反ですが、民事上の過失割合は事故類型と双方の回避可能性から決めます。添付の基準では、車と道路上で対向するV-77図は自転車20%:車80%、自転車同士が対向するVI-48図は50%:50%が出発点です。自転車同士では、右側通行側へ10~30ポイントを加える目安があります。

Q2. 順走側が止まっても50対50ですか?

A. 必ずしも50対50ではありません。VI-48図は双方が対向して進行し、互いに回避できる場面を想定しています。一方が安全な位置で完全に停止し、相手がその後に衝突したなら、同じ前提が崩れます。映像、停止位置、停止から衝突までの時間を基に、別の評価が必要です。

Q3. 逆走を避けた非接触事故でも請求できますか?

A. 接触がなくても、逆走自転車の走行が回避事故を引き起こし、回避方法も相当だったと証明できれば、損害賠償請求が認められる可能性があります。自転車の動き、車の制動や進路変更、衝突結果が連続して分かる映像が特に重要です。相手が立ち去った場合も警察へ届け出てください。

Q4. 警察の注意で過失割合は決まりますか?

A. 決まりません。注意、指導警告、青切符は交通違反に関する手続であり、民事上の過失割合を直接確定するものではないからです。ただし、どの違反を指摘されたかは事故態様を示す一資料になり得ます。警察資料と映像、写真を合わせて検討します。

Q5. 逆走した相手が怒って話をしない場合は?

A. 道路上で言い争わず、安全確保、負傷者救護、警察への届出を優先してください。相手の氏名や連絡先、服装、自転車の特徴、発言、立ち去った方向を記録します。過失割合は怒った側や声の大きい側が決めるものではありません。客観的な資料に基づいて交渉します。

2-5. 逆走自転車の過失割合まとめ

2-5. 逆走自転車の過失割合まとめ

逆走自転車の過失割合は、相手と事故の形を分けて考えると理解しやすくなります。車と道路上で正面から対向するV-77図では、自転車20%:車80%が基本です。自転車同士が歩道以外の道路上で対向するVI-48図では50%:50%から始め、右側通行側へ10~30ポイントを加える目安が示されています。

これらは法令で一律に決められた割合ではありません。ふらつき、高速走行、携帯電話の注視、酒酔い、児童等・高齢者、車の前方不注視、停止の有無などにより修正されます。出会い頭事故では、信号、一時停止、道路の優先関係、自転車が車の左右どちらから進入したかを確認し、別の事故類型から検討します。

事故直後には、救護と警察への届出を行い、映像の上書きを防いでください。道路全体、標識、衝突地点、車両の損傷を撮り、目撃者や防犯カメラの情報を確保します。過失割合を変えるのは、違反への怒りではなく、事故がどのように起き、どこで避けられたかを示す証拠です。

示談前に確認したい三点

  • 適用された判例タイムズの事故類型
  • 加算・減算された修正要素とその証拠
  • 過失相殺前の損害項目と金額

保険会社の提示に疑問があれば、割合の算定根拠を文書で求め、映像と現場状況に照らして確かめます。当事務所の初回無料相談では、車側・自転車側のどちらからのご相談でも、事故類型、修正要素、必要な証拠、損害額への影響を確認しています。

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