
交通事故に遭ってしまった場合、多くの方が気になるのは、示談交渉がいつ終わるのか、解決までにどれくらいの期間がかかるのか、ということではないでしょうか。
示談交渉は、精神的な負担も大きく、できる限り早く解決したいと誰もが考えます。
しかし、示談交渉は、交通事故の状況や過失割合、治療終了の有無、後遺症の有無など、様々な要因によって期間が大きく変動する可能性があります。
「できるだけ早く示談交渉を終わらせたい」
「適正な賠償金をしっかりと獲得したい」
この記事は、そのような悩みを抱える交通事故被害者の方に向けて、交通事故の示談交渉期間に焦点を当て、期間を短縮するための具体的な方法、そして弁護士費用特約を最大限に活用して有利に解決する方法について解説します。
この記事を読むことで、あなたは交通事故の示談交渉期間に関する正しい知識を身につけ、見通しを持ち、適切な行動を取れるようになります。
そして、一日でも早く平穏な日常を取り戻し、適正な賠償金を手にするための具体的な道筋が見えてくるはずです。
ぜひ最後までお読みいただき、あなたの交通事故問題解決にお役立てください。
本記事の目次
- 交通事故の示談交渉期間の基礎知識
- 事故類型別の標準的な示談交渉期間
- 示談交渉期間が長期化する主な原因
- 弁護士の関与による期間短縮効果とメリット
- 弁護士費用特約を活用して示談交渉を有利に進める方法
- 示談交渉期間に関するQ&A
- まとめ|交通事故の示談交渉は弁護士に相談して、早期解決と適正な賠償金獲得を
1. 交通事故の示談交渉期間の基礎知識

まず、交通事故の示談交渉期間について、基本的な知識を確認しておきましょう。
示談交渉とは
示談交渉とは、交通事故の当事者間で、損害賠償について話し合い、合意を目指す手続きです。
加害者側の保険会社と被害者(または弁護士)が、損害額や過失割合などについて交渉を行い、最終的な賠償金額や支払い条件などを決定します。物損については、こちらにも過失がある場合、こちらの保険会社の担当者を通じて相手保険と合意を目指します。
示談交渉期間の目安
示談交渉期間は、交通事故の状況によって大きく異なります。残念ながら、一般的な期間というものはありません。物損のみでは、損害が確定してから早くとも1ヶ月~3ヶ月程度、人損の場合、治療が終了し、損害が確定してから早くとも1ヶ月~3ヶ月程度を示談交渉期間の目安としてもいいでしょう(ただし、早く解決したいというのであれば、足元を見られ、譲歩を迫られることになるでしょう)。
しかし、後遺障害が残るような重傷事故や、過失割合に争いがあるケースでは、治療が終わってから1年以上かかることも珍しくありません。
示談交渉期間に影響を与える要因
示談交渉期間は、以下の様な要因によって変動します。
- 事故の規模と損害の程度
- 治療期間 治療が終わらなければ(また、後遺障害の申請がある場合には後遺障害の等級認定の結果が出なければ)損害額が確定しないため、そもそも最終的な示談の話にはなりません。
- 物損事故、軽傷事故、重傷事故、死亡事故など、事故の規模が大きいほど、また、損害が大きくなるほど、示談交渉期間は長期化する傾向があります。
- 過失割合
- 過失割合について当事者間の主張が異なる場合、交渉が難航し、期間が長引くことがあります。
- 後遺障害の有無
- 後遺障害が残った場合、後遺障害等級認定の手続きや、後遺障害慰謝料、逸失利益などの算定に時間がかかるため、示談交渉期間は長期化します。
- 保険会社の対応
- 保険会社の担当者の対応や、保険会社の内部審査の状況によっても、示談交渉期間は左右されます。人がやるものである以上、やはり担当者によって差があります。
2. 事故類型別の標準的な示談交渉期間

交通事故の類型別に、標準的と思われる示談交渉期間の目安を見ていきましょう。
事故の類型ごとの平均的な示談交渉期間をまとめました。ただし、これは個別の事案により大きく異なります。
事故類型 | 標準的と思われる示談交渉期間 |
---|---|
物損事故 | 損害が確定してから早くとも1ヶ月~3ヶ月程度 |
軽傷事故 | 治療が終わってから早くとも1ヶ月~3ヶ月程度 |
後遺障害等級認定を伴う事案 | 後遺障害等級認定が終わってから3か月~半年程度 |
上記の表からわかるように、事故の類型によって示談交渉期間には大きな差があります。
物損事故や軽傷事故、争いのない事案であれば比較的短期間で解決できることが多いですが、争点が多い事故、過失割合について妥結に至らない事故、治療に長期間かかる事故、後遺障害が残るような重傷事故では、長期化する傾向があります。
特に、後遺障害等級認定を伴う事案では、後遺障害等級認定が終わってから、半年以上、訴訟による解決も含めれば1年以上の期間を要することも覚悟しておく必要があります。
納得のいく解決をしたいのであれば、事故が発生してから、何年もかかることはざらといえるでしょう。
3. 示談交渉期間が長期化する主な原因

なぜ、交通事故の示談交渉は長期化してしまうのでしょうか。
それは、当事者双方の意見が食い違い、折り合いをつけることができない状態になるからです。それでも早く解決したいというのであれば、極論すれば、相手方の言うことを全部飲めばいいのです。ただ、そんなことは多くの人ができません。自分の希望を通したいというのであれば、相手がいる以上、それなりの時間がかかることを覚悟すべきです。
具体的には、以下の様な項目で当事者間の主張が対立し、示談交渉が長期化する傾向があります。
- 後遺障害慰謝料の算定
- 後遺障害慰謝料の算定基準(自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準)や、具体的な金額について、保険会社と被害者の間で意見が一致しないケース。
- 過失割合
- 事故状況に関する認識の違いや、過失割合の算定根拠に対する解釈・評価の違いから、過失割合の合意に至らないケース。
- 治療費の妥当性
- 治療期間が長引いた場合や、高額な治療費が発生した場合に、保険会社が、治療期間(症状固定日)の短縮や減額を主張することがあります。
また、保険会社側の内部での審査にも時間がかかります。担当者のみで決められることだけではないからです(医師への医療照会、アジャスターによる損害確認、自賠責保険の事前認定など)。これも、示談交渉期間が長期化する要因の一つとして考えられます。
4. 弁護士の関与による期間短縮効果とメリット

交通事故の示談交渉は、弁護士に依頼することで、期間を大幅に短縮できる可能性があります。
ただし、弁護士が介入したからといって、示談交渉期間の短縮ができるとは限りません。かえって、相手方保険会社も弁護士が出てきた以上、丁寧にやらなければならないと考え、長期化することも多くあります。
なお、訴訟提起やADR申立てをした場合は、弁護士に依頼した方が、弁護士が争点の整理や手続きに通じていることから、早期に解決ができることが多いと言えます。
また、弁護士に示談交渉を依頼することには、多くのメリットがあります。
- 精神的な負担の軽減
- 煩雑な保険会社との交渉を弁護士に任せることで、精神的なストレスから解放されます。
- 適正な賠償金
- 弁護士は、法的知識と交渉力を用いて、適正な賠償金を獲得するために尽力します。
- 裁判基準(弁護士基準)で賠償金を算定することで、賠償金が増額する可能性が高まります。
- 複雑な手続きの代行
- 後遺障害等級認定申請や、訴訟手続きなど、複雑な手続きを弁護士が代行します。
5. 弁護士費用特約を活用して示談交渉を有利に進める方法

交通事故被害者の方にとって、弁護士費用は大きな関心です。
しかし、弁護士費用特約に加入していれば、実質的な費用負担を気にせず、弁護士に依頼することができます。
弁護士費用特約とは
弁護士費用特約とは、自動車保険や火災保険などに付帯できる特約で、交通事故などの法律トラブルを弁護士に依頼する際の費用を保険会社が負担してくれるものです。
弁護士費用特約のメリット
弁護士費用特約を利用することで、以下の様なメリットが得られます。
- 自己負担なしで弁護士に依頼できる
- 多くの弁護士費用特約では、相談料、着手金、報酬金などの弁護士費用が保険金でまかなえます。
- 一般的な弁護士費用特約の保険金上限額は300万円です。ほとんどの交通事故事件で費用倒れの心配なく弁護士に依頼できます。
- 弁護士に依頼するハードルが下がる
- 弁護士費用を気にせずに弁護士に相談・依頼できるため、泣き寝入りせずに、適切な賠償を求めることができます。
- より有利な条件での解決が期待できる
- 弁護士の専門知識と交渉力によって、示談交渉を有利に進め、賠償金増額や早期解決が期待できます。
弁護士費用特約利用時の注意点
弁護士費用特約を利用する際には、以下の点に注意が必要です。
- 保険会社への連絡
- 弁護士に依頼する前に、必ず保険会社に弁護士費用特約を利用したい旨を連絡しましょう。
- 弁護士の選定
- 弁護士費用特約を利用する場合でも、弁護士を選ぶのは被害者自身です。
- 交通事故問題に注力している弁護士や、相性の良い弁護士を選びましょう。
- 保険会社との連携
- 弁護士費用特約を利用する場合、弁護士と保険会社が連携して手続きを進めることがあります。
- 弁護士と保険会社との間で、スムーズな連携が取れるように、協力しましょう。
- 自分の加入している保険会社に、不明な点は何でも聞いてみるようにしましょう。
6. 示談交渉期間に関するQ&A

最後に、示談交渉期間に関して、よくある質問とその回答をまとめました。
Q1. 示談交渉はいつから始めるのが良いですか?
A1. 損害項目が確定してから開始するのが通常です。
物損事故の場合は、修理見積書が揃ってから(協定してから)、人身事故の場合は、治療が終了し、症状固定となってから、本格的な示談交渉を開始するのが一般的です。
後遺障害が残った場合は、後遺障害等級認定後に、損害額を出せる状態となります。ただし、過失割合や、後遺障害分を除いた傷害分のみの示談を先行させて、少しでも示談交渉を進めておく、という場合もあります。
Q2. 示談交渉を長引かせないためにはどうすれば良いですか?
A2. 弁護士に早期に相談し、示談交渉を依頼することが果的です。
弁護士は、専門的な知識と交渉力で、示談交渉をスムーズに進め、早期解決をサポートします。ただ、弁護士に委任したからといって、依頼者の希望する解決内容によっては、早く解決できるとは限りません。
また、ご自身で交渉する場合でも、感情的にならず、冷静に、論理的に交渉に臨むことが重要です。
Q3. 示談交渉期間が長引いていますが、どうすれば良いですか?
A3. まずは、弁護士に相談し、現状を分析してもらいましょう。
弁護士は、示談交渉が長引いている原因を特定し、今後の対応策をアドバイスしてくれます。
Q4. 弁護士費用特約がない場合でも、弁護士に依頼できますか?
A4. はい、弁護士費用特約がない場合でも、弁護士に依頼することは可能です。
弁護士費用については、分割払いや後払いなどの相談も可能ですので、まずは弁護士にご相談ください。
また、弁護士に依頼することで、賠償金が増額する可能性が高く、結果的に弁護士費用を差し引いても、ご自身で交渉するよりも手元に残る金額が多くなるケースも多くあります。
7.まとめ|交通事故の示談交渉は弁護士に相談して、早期解決と適正な賠償金獲得を

交通事故の示談交渉期間は、様々な要因によって変動しますが、弁護士に依頼することで、期間を大幅に短縮し、適正な賠償金を獲得できる可能性があります。
「弁護士費用特約」に加入されている方は、実質的な費用負担を気にせず、弁護士に依頼することができます。
もしあなたが交通事故に遭い、示談交渉期間や賠償金について不安を感じているのであれば、一度、交通事故に強い弁護士にご相談いただくことが選択肢として生じます。
早期にご相談頂ければ、結果的に早期解決と適正な賠償金獲得への第一歩につながると考えています。
現在では、交通事故被害者の方の無料相談を受け付けている事務所も多くあります。
弁護士費用特約のご利用についても、ご説明を求めてみてください。
この記事が、交通事故問題でお悩みの方に少しでもお役に立つことができれば幸いです。