【解決事例】物損での休車損害・過失割合が争点となり、賠償額が300万円以上増額できた事例

  • LINEで送る

今回の解決事例は、物損のみの事案ですが、主に休車損害と過失割合が争点となったケースです。保険会社からの当初の提示額は約400万円でしたが、弁護士に依頼したことで、最終的に賠償額が300万円以上増額となりました。

この記事では、どのようにして賠償額の増額を実現できたのか、その具体的な経緯と弁護士の対応を詳しく解説します。交通事故被害に遭われた方、保険会社との示談交渉に悩んでいる方、休車損害の立証方法、過失割合の認定に納得がいかない方は、ぜひ参考にしてください。

目次

1. 事案の概要

  • 事故の状況: 交差点での出会い頭事故
  • 当事者:
    • 依頼者: 大型貨物自動車
    • 相手方: 普通乗用自動車
  • 過失割合:当方ゼロ主張(相手保険は1割の過失を主張)
  • 怪我の状況: なし

2. 相談に至る経緯

  • 相手保険会社からの過失割合の提示に納得がいかない
  • 相手保険は、経済的全損として車両時価額を主張(当方、分損として車両修理費を主張)
  • 休車期間の認定に納得できない
  • 休車損の日額単価に納得がいかない
  • 弁護士費用特約を使って依頼したい

3. 相手方からの提示

  • 全損時価:レッドブック時価
  • 休車損害:休車期間2か月
  • 過失相殺: 10%
  • 合計: 約400万円

4. 弁護士の対応

  • 証拠収集:
    • ドライブレコーダー映像記録、刑事記録の取り付け
  • 過失割合の検討:
    • 事故状況を詳細に分析し、過失割合の妥当性を検討
  • 損害額の算定:
    • 車両時価額につき、市場価格で計算、全損でなく分損へ
    • 休車期間につき、工場から修理期間が正当なものである証拠を取り付け
    • 訴訟では遊休車の存在の主張が予想されたため、遊休車の不存在の立証資料収集(車両台帳、日報等)
    • 決算書から休車損日額を丁寧に計算
  • 保険会社との交渉:
    • 若干の増額はできたものの、依頼者が受諾できる金額ではなかった
  • 訴訟提起:
    • 裁判所に訴訟を提起し、裁判手続きを通じて解決を図った

5. 解決内容

  • 解決方法:裁判所和解案にて終結
  • 解決期間:訴訟提起から約1年後
  • 最終的な賠償内容:
    • 車両修理費(分損)
    • 休車期間:4か月
    • 休車損日額:当方主張どおり
    • 過失割合:当方5:相手方95
    • その他:調整金(弁護士費用、遅延損害金)
    • 合計: 約700万円(相手損害について相殺した最終的な受取額。対物保険使用なし。また、弁護士費用特約があったため、弁護士費用の負担はなく、全額手元に残った)

6. 増額幅

  • 相手方提示額: 約400万円
  • 最終的な賠償額: 約700万円
  • 増額幅: 約300万円

7. まとめ

  • 訴訟提起した場合、相手保険は交渉時の提示額を撤回し、ゼロベースで争ってきます。すなわち、提訴したからと言って、賠償額が増加するとは限りません(むしろ減ることすらあります)。
  • 休車損の請求をする側が、遊休車の不存在の立証責任を負います。比較的多くの資料が必要となるため、依頼者の協力が不可欠です。
  • 過失割合に納得がいかない場合も、弁護士に相談することで、適切な解決につながる可能性があります。
  • 交通事故に遭われたら、まずは弁護士に相談することをお勧めします。

記事の監修者

 

弁護士 藤本真一(東京弁護士会)登録番号51083 弁護士法人木村雅一法律特許事務所所属
東京・埼玉・神奈川・千葉・山梨・茨城・北海道の交通事故に注力しています。これまでの交通事故での解決実績は、400件以上です(令和7年1月現在)。八王子駅5分・京王八王子駅1分 現場調査と鑑定分析、証拠収集に強みがあると考えています。依頼人との信頼関係を築くことに努めています。

東京・埼玉・神奈川・千葉・山梨・茨城・北海道の交通事故に注力しています。

私たちはご依頼者様の不安やお悩みを共にできるよう親身にお話を伺いご依頼者様の立場に立って考えることを大切にします。

特徴 事務所では常時、数百件の交通事故事件を受任中で解決の実績は多数です。
強み 事故の的確な調査、調査会社や鑑定会社との連携、医学的・工学的な鑑定分析、証拠収集、過失割合・損害額の検討、交渉・訴訟・調停・ADR等の的確な方針の選択等に強みがあると考えています。
連携 依頼者の加入する損害保険会社や、地域に根付く代理店様との連携強化を続けています。
事故の的確な調査 弁護士会照会を行い(防犯カメラ、刑事記録等)、実際に事故現場に足を運び車両や事故現場に残された痕跡を正確に分析し示談交渉や訴訟に役立てています。
調査会社や鑑定会社 調査会社や鑑定会社と連携し、図面の作成、現場写真の撮影に加えドライブレコーダーや防犯カメラを分析した報告書、車両の損傷状況から導き出される事故態様についての鑑定意見書を作成し事故態様の解明に役立てています。
過失割合の分析 当事務所で解決・集積された膨大な記録や、複数の裁判例のデータベースから過失割合を分析しています。
損害額の検討 車両の修理費、車両の時価、評価損(格落ち)、治療費、交通費、慰謝料、休業損害、死亡分・後遺障害分の損害についても、記録や裁判例をもとに損害をもれなく積み上げて計算し、適正な賠償を獲得することに努めています。

相談の予約・お問合せ