交通事故に遭ったら弁護士特約が最強の味方!保険を賢く利用して損害賠償を最大化するためのガイド

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交通事故に遭われた際、多くの方が直面するのが複雑な損害賠償請求の手続きです。そんな時、弁護士特約(弁護士費用特約。「弁特」といわれることもあります。)は、あなたの強い味方となり、経済的な負担を軽減し、適正な賠償金を得るための強力なサポートを提供します。この記事では、弁護士特約の基本的な知識から、利用するメリット、注意点、そして実際に交通事故に遭った際の活用方法まで、解説します。弁護士特約を賢く利用して、あなたの権利を守り、交通事故後の生活をスムーズに進めるための完全ガイドとして、ぜひお役立てください。

目次

1. 弁護士特約とは?知っておくべき基本

弁護士特約は、交通事故などの法的トラブルに巻き込まれた際に、弁護士に依頼する費用を保険会社が補償してくれる特約です。自動車保険や火災保険、傷害保険、クレジットカードなどに付帯していることが多く、加入していれば、万が一の事態に安心して弁護士に相談・依頼することができます。

弁護士特約の定義と概要

弁護士特約(弁護士費用特約)は、交通事故や自転車事故などの法的トラブルに巻き込まれた際、弁護士への相談料や依頼費用を保険会社が一定額まで負担する特約です(交通事故や自転車事故以外の、日常生活事故での弁護士費用を保険会社が負担する特約もあります。)。通常、自動車保険に任意で付帯できますが、火災保険や傷害保険、クレジットカードなどに付帯している場合もあります。弁護士特約は、法的トラブルに巻き込まれた際の経済的な負担を軽減し、弁護士に依頼することで、適正な賠償金を得るためのサポートを受けることができます。

弁護士特約の補償範囲

弁護士特約の補償範囲は、一般的に以下の費用が含まれます。

  • 相談料:弁護士に相談する際の費用を補償します。相談料がかかる場合は、1時間あたり5,500円~1万1000円程度(税込み)が一般的です。
  • 弁護士依頼費用:弁護士に示談交渉や訴訟などを依頼する際の費用を補償します。着手金、報酬金、実費などが含まれます。
  • 訴訟費用:裁判になった場合の訴訟費用(印紙代、交通費、宿泊費など)を補償します。

弁護士特約の補償額には上限があり、一般的には1つの事故あたり300万円まで(税込み)となっています。ただし、保険会社や契約内容によって異なる場合があるため、事前に確認しておくことが重要です。

弁護士特約が付いているかを確認するためには

自動車保険などに弁護士費用特約が付帯されているかは、自分で自覚していない人も多く、弁護士費用特約の有無がわからず、弁護士費用特約を使用しないまま、示談となってしまったという方もおられます。

弁護士費用特約が付帯されているか、今回の事故で適用があるのかを確認する一番早い方法は、代理店や、保険会社に直接電話して確認してみるという方法です。弁護士に相談してみたい、可能であれば依頼してみたいという場合は、まず、ご加入されている保険の代理店か、保険会社に直接問い合わせて、弁護士費用特約が付いているか、確認してみましょう。

また、ご自分で弁護士費用特約に加入されていなかったとしても、ご家族の弁護士費用特約が使える場合もあります。約款によって、配偶者、同居の親族、契約自動車のに搭乗中の者などに弁護士費用特約の適用ができることがあります。とにかく片っ端から聞いてみる、というのが間違いがなくて良いかもしれません。

2. 弁護士特約を利用するメリットとは?

弁護士費用特約を利用することで、交通事故の示談交渉を有利に進めることができ、適正な賠償金を得られる可能性が高まります。また、弁護士に依頼することで、精神的な負担を軽減し、安心して治療に専念することができます。

弁護士費用を気にせず交渉を依頼できる

弁護士に依頼する際、最も気になるのが弁護士費用です。弁護士特約を利用すれば、弁護士費用を保険会社が負担してくれるため、費用を気にせずに弁護士に依頼することができます。これにより、経済的な負担を軽減し、安心して弁護士に相談・依頼することができます。

示談交渉を有利に進めることができる

交通事故の示談交渉は、専門的な知識や交渉力が必要となるため、一般の方が自分で行うのは難しい場合があります。弁護士に依頼すれば、法律の専門家として、あなたの代わりに保険会社と交渉し、適正な賠償金を獲得するために尽力してくれます。弁護士は、過去の判例や法律に基づき、あなたの主張を論理的に展開し、保険会社を説得します。

精神的な負担を軽減できる

交通事故に遭うと、心身ともに大きな負担がかかります。特に、加害者側との示談交渉は、精神的なストレスが大きいため、弁護士に依頼することで、精神的な負担を軽減し、安心して治療に専念することができます。弁護士は、あなたの代理人として、加害者との交渉をすべて代行し、あなたに代わって賠償金の請求を行います。

特に、追突などの過失割合0:100でこちらに全く過失がない事案ですと、こちらの保険会社は示談代行をすることができず、弁護士委任しない限り、自ら相手保険との示談交渉を行う必要があります。

弁護士に相談するタイミング

弁護士に相談するタイミングは、早ければ早いほど良いです。交通事故に遭った直後から、弁護士に相談することで、適切なアドバイスを受け、今後の対応について検討することができます。特に、以下のような場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

  • 相手の言い分に納得できない場合
  • 後遺障害が残る可能性がある場合
  • 死亡事故の場合
  • 過失割合に争いがある場合
  • 相手の保険会社の対応に不満がある場合
  • 自分の保険会社以外のセカンドオピニオンも聞いてみたい場合
  • 弁護士を窓口として、治療に専念したい場合
  • 裁判例から、どのくらいの過失割合が相当なのか、相談してみたい場合

3. 弁護士特約の注意点とデメリット

弁護士特約は便利な特約ですが、利用にあたってはいくつかの注意点があります。保険会社への連絡や弁護士の選任方法、弁護士特約が使えないケースなどを事前に確認しておくことが重要です。

保険会社への連絡と弁護士の選任

弁護士特約を利用する際には、まず保険会社か代理店に連絡する必要があります。保険会社か代理店に連絡し、弁護士特約を利用する旨を伝え、必要な手続きについて確認します。弁護士の選任については、ご自身で探すこともできますし、保険会社に紹介してもらうこともできます。保険会社から日弁連リーガル・アクセス・センター(日弁連LAC)に、弁護士の紹介の依頼がなされることもあります。

弁護士特約が使えないケース

弁護士特約は、すべてのケースで使えるわけではありません。弁護士特約が使えない場合でないかどうかは、代理店や、保険会社に直接電話して確認してみるのが早いでしょう。

弁護士費用の立替払いと精算

弁護士特約を利用する場合、弁護士費用は、原則として保険会社が直接弁護士に支払います。しかし、弁護士費用が補償上限額を超えた場合や、保険会社が弁護士費用を直接支払わない場合は、ご自身で弁護士費用を立て替える必要があります。立て替えた弁護士費用は、後日、保険会社に請求し、精算を受けることができます。

弁護士特約を使用した場合の保険料への影響

弁護士特約を使用した場合、一般的には、弁護士特約を使用しただけで、保険料が上がることはありません(ノーカウント事故)。ただし、事故の状況や過失割合によっては、対物保険や車両保険を使用した方が経済的に得になることもあり、その場合、対物保険や車両保険の使用によって、保険料が上がる可能性があります。保険会社は、車両保険や対物保険を使用した時のシミュレーションを出してくれますので、対物保険・車両保険使用時の利害得失についても、把握しておきましょう。

項目内容
保険会社への連絡弁護士特約を利用する旨を保険会社・代理店に連絡する
弁護士の選任自分で探すか、保険会社に紹介してもらう
使えないケース故意または重大な過失による事故、飲酒運転や無免許運転の場合など
弁護士費用の立替弁護士費用が補償上限額を超えた場合や、保険会社が弁護士費用を直接支払わない場合は、自分で立て替える必要がある
保険料への影響弁護士特約を使用しただけで保険料が上がることは少ないが、事故の状況や過失割合によっては、車両保険・対人保険・対物保険の使用により上がる可能性がある
注意点弁護士特約の補償範囲や上限額を事前に確認しておく、弁護士特約が使えないケースがあることを理解しておく、弁護士費用を立て替える必要がある場合があることを理解しておく

4. 交通事故発生から解決までの流れと弁護士特約の活用

交通事故が発生してから解決するまでの流れの中で、弁護士特約は様々な場面で活用できます。事故発生直後の対応から、治療中の対応、示談交渉、裁判まで、弁護士特約を有効に活用することで、スムーズな解決を目指しましょう。

交通事故発生直後の対応

交通事故が発生したら、まずは警察に連絡し、事故の状況を報告します。けががある場合は、救急車を呼びます。ご自身の加入している保険会社や代理店にも連絡し、事故の状況を報告します。弁護士特約に加入しているかどうかは、保険会社に確認することが可能で、弁護士に相談し、今後の対応についてアドバイスを受けることもできます。

治療中の対応と後遺障害等級認定

交通事故による怪我の治療中は、医師の指示に従い、適切な治療を受けることが重要です。治療費や休業損害などの損害賠償請求を行うためには、診断書や領収書などの証拠を保管しておく必要があります。後遺障害が残る可能性がある場合は、後遺障害等級認定の手続きを行う必要があります。弁護士に依頼すれば、後遺障害等級認定の手続きをサポートしてくれます。

示談交渉と弁護士の役割

治療が終了した後、相手の保険会社との示談交渉が始まります。示談交渉では、損害賠償額について合意を目指しますが、多くの場合、保険会社は賠償額を低く抑えようとしてきます。弁護士に依頼すれば、あなたの代わりに保険会社と交渉し、適正な賠償金を獲得するために尽力してくれます。

裁判になった場合の弁護士特約

示談交渉が決裂した場合、裁判所に訴訟を提起することになります。裁判では、証拠に基づいて、あなたの主張を立証する必要があります。弁護士に依頼すれば、裁判に必要な書類作成や証拠収集、法廷での弁論などを代行してくれます。弁護士特約は、裁判になった場合の弁護士費用も補償してくれるため、安心して裁判に臨むことができます。

段階対応内容弁護士特約の活用
事故発生直後警察への連絡、相手の確認、保険会社への連絡弁護士費用特約の加入状況を確認後、弁護士に相談し、今後の対応についてアドバイスを受ける
治療中医師の指示に従い、適切な治療を受ける、診断書や領収書などの証拠を保管する後遺障害が残る可能性がある場合は、弁護士に後遺障害等級認定の手続きについて相談する
示談交渉保険会社との示談交渉弁護士に示談交渉を依頼し、適正な賠償金を獲得するために交渉してもらう
裁判示談交渉が決裂した場合、裁判所に訴訟を提起する弁護士に裁判に必要な書類作成や証拠収集、法廷での弁論などを依頼する
メリット交通事故発生から解決までの各段階で、弁護士のサポートを受けられる、適正な賠償金を獲得できる可能性が高まる、精神的な負担を軽減できる
注意点弁護士特約の補償範囲や上限額を事前に確認しておく、弁護士特約が使えないケースがあることを理解しておく

5. 弁護士の選び方と弁護士費用の相場

弁護士特約を利用する際には、交通事故に強い弁護士を選ぶことが重要です。弁護士の探し方や、弁護士との相性、弁護士費用の相場などを事前に確認しておくことで、安心して弁護士に依頼することができます。

交通事故に強い弁護士の探し方

交通事故に強い弁護士を探すには、以下の方法があります。

  • インターネットで検索する
  • 弁護士会に相談する
  • 代理店、知人や友人からの紹介
  • 保険会社からの紹介

弁護士を選ぶ際には、交通事故の解決実績や専門知識、相談しやすい雰囲気などを考慮することが重要です。

弁護士との相性

弁護士との相性は、事件の解決に大きく影響します。弁護士を選ぶ際には、実際に相談してみて、相性が合うかどうかを確認することが重要です。相談の際には、弁護士の考え方や解決方法、コミュニケーション能力などを確認し、信頼できる弁護士を選びましょう。

弁護士費用の内訳と相場

弁護士費用特約が使えるとなった場合、保険会社から弁護士にいくらの弁護士費用が支払われるのか、基本的に依頼者には負担がないため、依頼者は関心がない場合も多いです。

通常、保険会社は、弁護士費用特約については、保険会社の約款の弁護士費用特約の規定か(通常、インターネットで見ることができるようになってます)、日弁連LAC(日弁連リーガルアクセスセンター)の基準でお願いしますと言ってきます。

なお、2025年1月から、LAC基準の改定が行われました。
LAC基準の概要は下記のとおりですが(その他の細かい規定もありますので、必ず弁護士の説明を受けてください)、報酬金が最低20万円と改訂されました。

項目内容
1.法律相談料相談時間1時間まで1万円。以降は超過15分ごとに2,500円。
2.着手金・報酬金方式
⑴着手金
経済的利益の額が125万円以下の場合:10万円
・125万円を超え300万円以下の場合:経済的利益の8%
・300万円を超え3000万円以下の場合:経済的利益の5%+9万円
・3000万円を超え3億円以下の場合:経済的利益の3%+69万円
・3億円を超える場合:経済的利益の2%+369万円
⑵報酬金
経済的利益の額が125万円以下の場合:20万円(ただし、経済的利益の額が0円の場合は報酬金は発生しない)
・125万円を超え300万円以下の場合:経済的利益の16%
・300万円を超え3000万円以下の場合:経済的利益の10%+18万円
・3000万円を超え3億円以下の場合:経済的利益の6%+138万円
・3億円を超える場合:経済的利益の4%+738万円
3.時間制報酬方式(タイムチャージ)①所要時間当たり2万円
②1事件当たり所要時間30時間(時間制報酬総額60万円)を一応の上限

(なお、消費税が加算されます)

すなわち、比較的少額な係争の案件ですと、依頼者の経済的利益よりも、弁護士の受ける経済的利益が高くなることが多くなります。
ただし、本来、弁護士費用特約がなければ費用倒れになってしまっていたものが、費用倒れの心配なく弁護士を使うことができると割り切って考えるのが良いかと思います。

無料相談を活用しよう

多くの弁護士事務所では、交通事故に関する無料相談を実施しています。弁護士費用特約が使えない場合であっても、無料相談を利用することで、弁護士に相談し、事件の見通しや弁護士費用について確認することができます。無料相談を有効活用し、信頼できる弁護士を見つけましょう。

項目内容
弁護士の探し方インターネット検索、弁護士会への相談、知人からの紹介、保険会社からの紹介
弁護士との相性実際に相談してみて、相性が合うかどうかを確認する
弁護士費用の内訳相談料、着手金、報酬金
無料相談多くの弁護士事務所で実施している無料相談を活用する
注意点交通事故に強い弁護士を選ぶ、弁護士との相性を確認する、弁護士費用の内訳と相場を理解する
ポイント複数の弁護士に相談し、比較検討する、弁護士の解決実績や専門知識を確認する、弁護士の説明がわかりやすいかどうかを確認する、弁護士とのコミュニケーションがスムーズかどうかを確認する、弁護士の人柄や信頼性を確認する

この記事が、交通事故に遭われた方にとって、弁護士特約を賢く利用し、適正な賠償金を得るための一助となれば幸いです。

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